青信号の横断歩道で歩行者が右左折の車両に巻き込まれ、犠牲となる事故があとを絶ちません。左折ダンプの事故で長男を失った両親が「信号の構造そのものが事故につながっているのではないか」と歩行者が横断中は全方向の車両を停止させる「分離信号」に改善するよう、東京都と警視庁に求める運動を行ってきました。「分離信号」は、全く普及していない訳ではなく、その代表例は歩行者が斜めにも横断できるスクランブル交差点があります。警視庁によると、スクランブル交差点以外は分離信号という特別な「施設」はなく、あくまでも信号の点滅をどう運用するかという問題だと思います。また交差点での事故は「運転手の注意で防ぐことができた事故」とし、行政の交通事故死の対策は運転手に対してのみで、もっとも弱い歩行者がおざなりにされているのが現状です。
歩行者の横断時に交差点の車両すべてを停止させる「分離信号」の導入を訴え、歩行者を守る立場から信号のありかたを見直そうという問題提起が各地で活発になっています。
「分離信号」にするとどうかは、都道府県の警察の判断です。
「分離信号」にすると渋滞する。車両が脇道に流れる。歩行者が待ちきれず信号無視をする。また交通ルールになじまない。などと否定的です。
「分離信号を」数年前から導入している埼玉県警では「待ち時間が長くなっても右左折が歩行者に遮られなくなり、車の流れはかえってスムーズになっている」と「分離」の効果をあげています。また、一昨年9月には県内10ヵ所の交差点を一斉に分離信号化、スクランブル交差点を含めて県内41ヵ所の交差点が分離信号となりました。
子供の安全のためには、道路建設より安全な道づくりを目指すとともに、通学路の分離信号化をすすめ、歩行者優先の安全な交通システムを導入し、信号や歩道を改善して、道路を高齢者やこどもに優しいものにすることが必要です。
以上の主旨より警視庁に質問いたします。
1、警視庁管内の分離信号の設置状況を伺います。
2、左折車による巻き込み事故の状況を伺います。
3、分離信号が何故増えないのか伺います。
4、分離信号機の設置基準と今後の方策を伺います。
質問事項
一 分離信号について
質問事項 1、警視庁管内の分離信号
回答 (警視総監)
平成12年7月末現在、343カ所設置してあります。
質問事項 2、 左折車の巻き込み事故の状況を問う
回答 (警視総監)
平成11年中、車両が信号機のある交差点を左折する際に同一方向に進行する歩行者を被害者とする人身事故は、発生155件、死者数1人、負傷者数155人となっております。
質問事項 3、分離信号は何故増えないのか、伺う。
回答 (警視総監)
歩行者と車両を分離する信号機は、その交差点だけについて言えば、歩行者と車両とが交錯することがなくなり、理論上は安全性が高まると考えられます。
しかし、その反面、それぞれの待ち時間が長くなることにより、歩行者の信号無視、新たな交通渋滞の誘発、その渋滞を避けようとする車両による生活道路への進入、その沿道や信号機の無い交差点等での新たな危険の発生なども考えられます。
したがって、分離信号機は、当該交差点の形状、交通流・量等の交通状況を総合的に勘案して必要な箇所について整備に努めてきたところであります。
質問事項 4、分離信号の設置基準と今後の方策について、伺う。
回答 (警視総監)
分離信号機の設置基準を定めたものは特にありませんが、
・左折する運転者が直進していると錯覚するような角度の緩い交差点
・横断歩行者が多いために、車両が右左折しにくく、無理に歩行者の隙間を進行するような状況のある危険性の高い交差点
等交差点の形状及び見通し、歩行者、車両の交通流・量等現場の道路交通の状況を総合的に勘案した上で、今後とも必要な箇所について分離信号機の整備について検討してまいります。